認知症700万人時代を前に
世界でも類のないハイスピードで超高齢社会に突入している日本。2025年には、高齢者の5人に1人にあたる約700万人が認知症患者になると推計されています。治療法がいまだ確立されていない中、生活習慣の改善が予防や進行抑制につながり、脳の健康寿命を延ばす、ということに関心が寄せられています。
「楽しく脳の健康を保つ」習慣をつくる
キリンは、長年にわたり認知症と食品の関連性を研究し、乳製品とホップからβラクトペプチドや熟成ホップのような認知機能向上効果のある機能性成分を見出してきました。健常者の記憶力や集中力に効果をもたらすことがわかっています。
これらの素材を軸として、私たちは日々の暮らしの中で、自然に、楽しく脳の健康を保つ習慣をつくろうとしています。機能性食品だけでは脳の健康維持は十分にできないため、自治体や大学、異業種とも連携し、食だけでない生活習慣と組み合わせた提案を進めています。
異業種、自治体との協働
2021年にリリースした脳トレアプリはその一例です。ゲームを楽しみながら脳の健康状態を知ることで、健康的な食事や生活習慣を取り入れ、継続するきっかけやモチベーションを生み出せると考えています。また、吉本興業とは「笑いと脳の健康の関連性」を共同研究しています。笑いが集中力の向上やストレス軽減に効果的であるという研究結果を示しました。
キリンの開発した食素材に、笑いやエンターテインメントの要素を組み合わせる。より複合的なアプローチで、いきいきとした生活をもたらし、認知症の予防や進行抑制につなげたい、と私たちは考えます。
自治体と協働した実証研究も数々行っています。浜松市と共同設立した浜松ウエルネス・ラボでは、βラクトペプチドが軽度認知機能障害に与える影響の研究を進めています。また柏の葉スマートシティでは熟成ホップエキスが認知機能やストレスに与える影響を明らかにしました。
おいしいものを食べ、笑い、周囲とのコミュニケーションで脳を活性化する。楽しく日常を過ごすことがそのまま、脳の健康を保つ行動につながっている。そんな社会を目指し、わたしたちの挑戦は続きます。