食の強み技術

原料栽培、原料高度活用

酒類・飲料の原料を栽培し、選び抜き、加工することで、原料の良さを最大限引き出す技術です。

ホップやブドウ、茶などの原料は、栽培、収穫、輸送、粉砕、熱処理、抽出、浸漬など、さまざまな工程を経て商品になります。栽培・収穫工程では、栽培地域に合った条件や良好な香味につながる条件を検証し、良い原料の生産につなげています。収穫後の加工工程では、タイミングや温度、時間などの条件を高度に制御し、産地や季節に左右されない安定した味をつくったり、原料独自の風味や特長を際立たせたり、また原料が持つ健康機能を保持したまま加工することなどを実現しています。

発酵制御

酒類・飲料や食品の発酵工程について、微生物の特性を見極め、最適な発酵条件を見出して制御する技術です。

発酵工程は、酵母や乳酸菌などそれを担う微生物に大きな影響を受けます。微生物の活性や特性を代謝物や遺伝子などから診断し、使用する株や品種を選別するとともに、長年蓄積された知見を生かして発酵の温度や時間を調整することで、商品の味や香り、食感に特徴を持たせたり、安定的に量産できるようにしたりします。

香味設計

酒類・飲料や食品の香味を、成分調整や製造条件制御によって科学的にデザインする技術です。

味や香り、食感、安定性に影響する要素や成分を見出すとともに、それを制御する技術を開発しています。この技術によって、「すっきりしている」「うまみやコクがある」「食事に合う」などの抽象的な表現を科学的に分析して味をつくったり、想像を超えるあたらしい味を生み出したりできます。また味や香りの微妙なバランスを大規模な工場でも安定的に再現できるよう、精緻かつ厳密に製造条件に落とし込む技術も有しています。

特定成分制御

酒類・飲料や食品に含まれる特定の成分を低減・除去することで、おいしさと健康を両立させる技術です。

吸着材や酵素分解、膜ろ過などによって、おいしさに寄与する成分は保持しながら、カフェインやプリン体、糖質などの特定成分だけを選択的に除去することができます。また経験則だけでなく吸着や分解の原理も科学的に追究することで、成分の残存や香味悪化のリスクが少なく、かつ低コストで高効率な製造条件を確立しています。

嗜好科学

酒類・飲料や食品に対するヒトの嗜好性を探り、「おいしさ」を科学的に追及する基盤研究です。

味や香りだけでないさまざまな要素を含めた「おいしさ」の秘密を突きとめ、味づくりだけでなく商品全体の設計に生かすことを目指しています。

容器包装設計・評価

商品の容器や包装資材を設計し、評価する技術です。キリングループの商品をお客様に品質の高い状態でお届けするために、容器の存在は欠かせません。

缶・びん・ペットボトル・ダンボール箱などさまざまな容器について、中身の品質保持・耐久性・取り扱いのしやすさといった「機能」と、商品らしさを表現する「デザイン性」を両立させながら設計し、耐久試験やユーザーテストで評価を行います。また軽量化など環境負荷低減に貢献する技術開発も行っています。

ディスペンサー設計・評価

飲食店で使われるビールを注ぐディスペンサー(ビールサーバー)や、関連する器具を設計し、評価する技術です。

高品質なビールをお届けするために重要な「飲みごろの温度に冷やす」「最もおいしい状態に注ぎ出す」「使いやすい」の3要素を追求し、部品一つ一つにこだわって設計しています。また容器包装設計・評価の技術も組み合わせることで、ペットボトルを用いた家庭用ディスペンサー等、独自の価値を生み出しています。

充填・包装プロセス開発

商品を容器に詰め、包装して物流工程へ送り出すまでの製造設備の開発を行っています。

容器や包装の形状は商品によって異なり、特に自社で独自開発したものは特殊な場合も多くあります。独自開発容器の商品も安定的に量産できるようにするために、充填・包装設備を設計・開発しています。また、次世代の製造、流通の仕組みづくりを目指し、人手不足や少量多品種化など、製造・物流における課題を解決するための先進技術の探索も行っています。

リサイクルシステム構築

ペットボトルに代表されるプラスチック容器を、安定的にリサイクルできるようにする技術開発に取り組んでいます。

通常、リサイクルを繰り返すと不純物が混じり品質が劣化するため、リサイクル回数には限度があります。キリンでは、ペットボトルの化学分解、精製、再重合を行う高純度のリサイクル、「ケミカルリサイクル」の技術開発に取り組み、半永久的なプラスチック循環に挑戦しています。また技術開発に加え、「プラスチックが循環し続ける社会」の実現に向けた事業化の構想にも取り組んでいます。