研究体制

パッケージイノベーション研究所

パッケージからイノベーションを起こす

パッケージはあらゆる商品に使われています。商品を手に取ったとき最初に触れる部分であり、物流工程や店頭で衝撃や気温変化から商品の中身を守る重要な役割も担っています。一方で近年では、プラスチック容器による海洋汚染などパッケージを取り巻く社会課題も顕在化しています。パッケージに変革を起こすことで人々にあたらしい価値を提供するとともに、社会課題を解決する。それがパッケージイノベーション研究所のミッションです。

創りたい未来

パッケージイノベーション研究所が技術を通してつくろうとしている未来の一部をご紹介します。プラスチック循環社会の実現や、あたらしい容器包装・ビールサーバーの開発による新たな飲用シーンの創出に挑戦しています。このほか、環境負荷軽減のための容器軽量化技術開発や、人手不足に悩む生産現場を救うためのロボット技術開発など、多彩な取り組みを行っています。

ペットボトルを循環利用できる社会をつくる

世界的な問題となっているプラスチックごみ。プラスチック容器であるペットボトルを取り扱うメーカーとして、私たちはこの問題に正面から向き合っています。

おいしさのトータルデザインでコミュニケーションを豊かに

おいしいのみものは、人々の共感や喜びを生み、コミュニケーションを円滑にします。味だけではなく見た目や印象までおいしさをデザインすることで、より豊かなコミュニケーションの助けとなれる。私たちはそう信じ、挑戦し続けます。

主な強み技術

容器包装だけでなく、それを活用するためのディスペンサーや製造プロセスに関する幅広い技術を保有しています。またリサイクルシステムの構築にも取り組んでいます。

容器包装設計・評価

商品の容器や包装資材を設計し、評価する技術です。キリングループの商品をお客様に品質の高い状態でお届けするために、容器の存在は欠かせません。

缶・びん・ペットボトル・ダンボール箱などさまざまな容器について、中身の品質保持・耐久性・取り扱いのしやすさといった「機能」と、商品らしさを表現する「デザイン性」を両立させながら設計し、耐久試験やユーザーテストで評価を行います。また軽量化など環境負荷低減に貢献する技術開発も行っています。

ディスペンサー設計・評価

飲食店で使われるビールを注ぐディスペンサー(ビールサーバー)や、関連する器具を設計し、評価する技術です。

高品質なビールをお届けするために重要な「飲みごろの温度に冷やす」「最もおいしい状態に注ぎ出す」「使いやすい」の3要素を追求し、部品一つ一つにこだわって設計しています。また容器包装設計・評価の技術も組み合わせることで、ペットボトルを用いた家庭用ディスペンサー等、独自の価値を生み出しています。

充填・包装プロセス開発

商品を容器に詰め、包装して物流工程へ送り出すまでの製造設備の開発を行っています。

容器や包装の形状は商品によって異なり、特に自社で独自開発したものは特殊な場合も多くあります。独自開発容器の商品も安定的に量産できるようにするために、充填・包装設備を設計・開発しています。また、次世代の製造、流通の仕組みづくりを目指し、人手不足や少量多品種化など、製造・物流における課題を解決するための先進技術の探索も行っています。

リサイクルシステム構築

ペットボトルに代表されるプラスチック容器を、安定的にリサイクルできるようにする技術開発に取り組んでいます。

通常、リサイクルを繰り返すと不純物が混じり品質が劣化するため、リサイクル回数には限度があります。キリンでは、ペットボトルの化学分解、精製、再重合を行う高純度のリサイクル、「ケミカルリサイクル」の技術開発に取り組み、半永久的なプラスチック循環に挑戦しています。また技術開発に加え、「プラスチックが循環し続ける社会」の実現に向けた事業化の構想にも取り組んでいます。

風土、特徴

パッケージイノベーション研究所は、キリンビールの容器開発部門に端を発し、60年以上の歴史ある研究所です。長年にわたり、パッケージという形あるものをつくってきた背景から、ものづくりを愛し、「机上の議論より、まずはプロトタイプをつくる」という風土があります。プロトタイピングに必要な環境や設備があり、3Dプリンターやサンプルカッター、ペットボトルブロー機など、さまざまな機器を即座に自由に使うことができます。自発的で遊び心のある研究員が多く、R&D本部の独自制度であるアイデア検証制度を活用した試作や研究もさかんに行われています。また設計や機器開発などに携わるため、材料工学、機械設計、電気工学など、食品とは一見なじみのない専門やスキルを持つ研究員がいることも特徴です。研究員は互いに相手の専門や得意分野を把握し、チームを越えて知識を提供し合い、協力する姿勢が根付いています。

あらゆる形状がつくれる3Dプリンター
紙包材などを切るサンプルカッター
アイデア検証制度で生まれた斬新な形状の試作品

インタビュー

パッケージイノベーション研究所には、さまざまなスキルを持った個性豊かな研究員がいます。やりがいや想いを聞きました。

インタビュー

パッケージイノベーション研究所には、さまざまなスキルを持った個性豊かな研究員がいます。やりがいや想いを聞きました。

家電メーカーからキリンへ 前職スキルを生かして新市場を切り拓く

家電メーカーからキリンへ 前職スキルを生かして新市場を切り拓く

石田 諒

自宅で生ビールが飲めるホームタップ。家にビールサーバーを置くというあたらしい習慣を提供し、家飲みを豊かにする業界先駆けのサービスだ。その開発に携わるのは、異色のキャリアを持つ石田諒さん。家電メーカーで既存製品の改良やリニューアルを担当していた前職から、新ビジネスを切り拓く仕事を希望し転職。「ホームタップは始まったばかりで、まさに新しい市場を切り拓いている感覚。プレッシャーはあるけれど楽しい」。主な仕事は、内部構造も含めたサーバーの設計・デザイン、試作製造のマネジメント、試作品の評価だ。試作品はモニターのお客様にも使ってもらい、フィードバックを得て試作を繰り返す。ホームタップは長期間自宅で使われる点が家電製品に近い。図面は違えど、前職経験が生きる場面は多く、耐久性のシミュレーション解析なども中心となって進めている。「日々痛感するのは、お客様と直接対話し、理解することの大切さ。実験室でサーバーを見つめていても何もわからない。机上の設計では思いもよらなかった気づきが、実際に試作品をつくり、モニター調査する中で得られるのです」。まずはつくって試してみる、をモットーに、完成を目指して挑み続ける。

夢を現実に―プラスチック循環社会を目指して

夢を現実に―プラスチック循環社会を目指して

王 蕾蕾

ペットボトルのリサイクル技術開発を担当する王蕾蕾さん。取り組んでいるのはケミカルリサイクルと呼ばれる技術だ。廃ペットボトルを洗浄し、分解、精製、再重合させて新しいペットボトルの原料へと再生させる。プラスチック資源の恒久的な循環が可能な夢の技術だが、品質や効率の観点で課題があり、まだ本格的な実用化までは進んでいない。王さんのチームは2027年に実用化の目標を置き、スピード感を持って研究に取り組んでいるという。「深刻化する環境問題を前に、社会に求められている重要な技術です。どうすれば最短期間で結果が出せるか、常に考えています」。実験は計画に沿って進めるが、予想外の結果が出ることも多い。結果に応じて迅速に計画を変更し、高速でPDCAを回す日々だ。ケミカルリサイクルは工程が複雑で多岐にわたるため、自社技術だけでは限界がある。さまざまな研究機関や他社との協働も欠かせない。「品質、コスト、収率の3拍子がそろわなければ実用化はできません。高いハードルですが、社を越えて知恵を出し合っています」。環境問題を解決したいという志をともにしながら、仲間と歩む日々は続く。

思いついたらすぐ試作、活発な提案が日常に

思いついたらすぐ試作、活発な提案が日常に

永谷 明子

ペットボトルや紙包材の設計を担当する永谷明子さん。プリンターや航空部品の設計経験も持ち、CADを自在に操る設計のプロフェッショナルだ。「もともとモノづくりや工作が好きで。頭に思い浮かんだものを形にする瞬間にワクワクするんです」。いつも持ち歩いているノートには、そこかしこにアイデアが走り書きされている。長年の経験から、こんな容器がほしいというニーズを聞いた瞬間、頭に形状が思い浮かぶことも多いという。「思いついたアイデアはすぐにCADで描いて、3Dプリンターなどで試作します。即、形にできる設備が整っているのはありがたいですね」。プロトタイプができると、フランクな雑談ベースで周囲に見せに行く。「『見てみて、こんなのできたよ』という感じで。面白いねという感想や、もっとこうしたらというアドバイスをもらえるので、モチベーションも上がります」。R&Dの独自制度であるアイデア検証制度を活用し、担当テーマとは異なるあたらしい容器も、自由に設計・試作し、活発に提案している。「今後はデザインも学びたい。設計とデザイン、どちらもできたらきっと楽しい」。経験とスキルを武器にしながら、貪欲に学び続ける永谷さん。モノづくりの道を日々突き進む。

つい手に取りたくなる、そんな容器をお客様に届けたい

つい手に取りたくなる、そんな容器をお客様に届けたい

遠藤 和佳奈

缶、びん、ペットボトル、段ボール箱などの容器や資材は、数々の耐久性や安全性試験を経て商品となる。それらを評価するグループに属するのが、若手エキスパート、遠藤和佳奈さん。学生時代、アルミなどの金属材料の設計や評価を学び、入社直後から即戦力として活躍してきた。 入社のきっかけはコンビニで見た「生茶」と「氷結」。「形が面白くて一目で気に入りました。つい手に取るような、商品の顔となるパッケージを私もつくりたいと思いました」。入社後、消費者にとっての「面白い容器」は、メーカーにとって「数々の評価試験を乗り越えた容器」だと知った。容器の破損は事故につながる。「自分の評価した容器を手に取るお客様を見かけると、嬉しいと同時に、この方たちに迷惑をかけてはいけない、と気が引き締まります」。印象に残るのは、2020年に行った新しい缶資材の導入だ。コロナ禍による家飲み需要の高まりで缶資材がひっ迫し、使用実績のない缶の導入を迫られた。通常は約2カ月かかる評価を、評価グループ全体を巻き込んで2週間で完了したという。「ハードでしたが一丸となって達成し、お客様に安全に缶製品をお届けできてよかった」。今後は評価だけでなく開発にも携わりたいと語る遠藤さん。奥深いパッケージの世界への航海はまだ始まったばかりだ。

アクセス

パッケージイノベーション研究所

パッケージイノベーション研究所

〒230-8628
神奈川県横浜市鶴見区生麦1-17-1