研究開発を推進するための独自の制度や場があり、さまざまなキャリアを持つ多彩な人材が活躍しています。
研究員一人ひとりのアイデアを尊重し、自ら研究テーマを提案するボトムアップ型の仕組みとして「アイデア検証制度」を設けています。研究員は業務の10~20%をつかい、担当業務に限らない自発的な研究や仮説検証を行っています。この制度からは、商品化や論文化、営業活動への活用など、さまざまな成果が生まれています。
日本初の糖質ゼロビールは、アイデア検証制度から生まれた商品のひとつです。ある研究員が育児休業中に着想し、アイデア検証制度を利用しゼロから製法を検討しました。最終的には部署をまたぐ一大プロジェクトとなり、アイデア検証期間から通算して350回を超える試験醸造を経て商品化に結び付きました。日本初の糖質ゼロビールとして話題となり、現在も多くのお客様から支持される人気商品です。
世界的に有名なプレミアムスタウトビール「ドラフトギネス」のつくる美しい泡模様(カスケード現象)に興味を抱いた研究員が、アイデア検証制度を活用してその発生原理を解明しました。カスケード現象がグラスの傾斜角度に影響を受けることや、転波と呼ばれる物理理論に基づくことなどを突き止め、英国科学誌「Scientific Reports」で論文化されました。
ワインの専門研究員が、アイデア検証制度でスタートした、ワインの調理活用に関する研究は、営業活動に貢献しました。ワインを調味料としてとらえ、料理にもたらす味わいや健康機能性について研究した結果をメルシャンの営業部門に共有し、その内容をレストランやホテルに提案して採用されました。
「競争」ではなく「共創や協調」を軸に、研究開発を進めています。大学や異業種との共同研究や、自治体と連携した実証研究、時には競合企業との協働を通じて、自社だけでは越えられない壁、社会問題にも挑戦しています。
竹中工務店(植物増殖技術)、三菱ケミカル(プラスチックケミカルリサイクル技術)、三菱総研(ビール醸造AI技術)、吉本興業(脳機能研究)、ほか多数
慶応大学(脳機能研究)、順天堂大学(脳機能研究)、東京大学(結晶スポンジ法応用開発)、マレーシア・マラヤ大学(免疫機能研究)、ほか多数
市民の疾病予防や健康づくりを目指し、社会実証事業を展開する「浜松ウエルネス・ラボ」や、競合関係にある食品企業が一堂に集まり、食の未来を考えるコミュニティ「Food Up Island」に参画しています。
キリングループは、食から医にわたる幅広い領域で、戦略的な知財活動を行っています。知財活動は「R&D戦略と事業戦略の懸け橋」としての役割を担い、技術シーズを権利化して事業競争力を高める順方向、事業戦略から知財の観点で必要な技術を洗い出し開発する逆方向の両輪で進めています。
キリングループ全体として、食から医にわたる幅広い領域で特許を保有しています。
事業戦略とR&D戦略を知的財産戦略が繋ぐことにより組織の一体化を図り、価値創出の最大化を実現します。
キリングループでは、日ごろから事業領域や部署の枠を越えて、研究員同士がフラットに意見交換しています。中でも、毎年開催される「ヘルスサイエンス技術フォーラム」では、協和キリン、協和発酵バイオ、FANCLなどグループ各社の研究員どうしが集まり、知見を交換し活発に議論を重ねます。グループ内の共同研究や技術導出、横展開のきっかけの場となっています。
超臨界流体クロマトグラフィーと結晶スポンジ法を連結した新規分析方法の構築は、ヘルスサイエンス技術フォーラムがきっかけで生まれました。食品だけでなく医薬や化学などあらゆる分野の研究開発に貢献する構造解析法です。この技術は農芸化学会でトピックス賞を受賞しました。
R&D本部では、研究開発の志として「さあ、本気でわくわくしよう」という言葉を掲げています。この言葉は、9人の有志メンバーが「壁にぶつかったときも心にとめておける言葉を」という想いのもとに集まり、議論を重ねてつくりあげました。部署もキャリアも異なるメンバーが対等な立場で語り合って生まれた、想いのこめられた言葉です。
R&D本部ではさまざまな経験を持つ多彩な人材が活躍しています。
R&D本部で得た強みを生かして新しい環境で働く人も含め、多様なキャリアを歩む人々をご紹介します。